100年マンションを育む

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このマンションは何年使えるのか、100年保つのか、まずは「使えるのなら使いたいがどうしたらいいのか」と疑問を持っていることが大事です。なぜなら、放っておいて100年持つわけではないからです。
建物は同じ会社が同じ時期につくっても老朽度が違います。見かけ上の機能や性能は同じでも、コンクリート駆体は同じではありません。工業製品と違って、つくる現場環境は暑いときも、寒いときも、雨が降るときもあります。交通渋滞でコンクリートミキサー車が遅れるときもあります。それぞれの環境状態がコンクリートや部材に悪影響を与えます。それらの総体が建物の寿命に大きな影響を与えます。
新築時で決まることが大半だとすれば、何もできないことになりますが、構造的なことを含めてほとんどがカバーできます。

まずは建物の現状を知ることから始まります。

「建物診断」といったりしますが、建築と電気と管設備の経年変化を調査し評価を加えて診断とします。数値的に把握できるものもありますが、それだけではほとんどの住民は理解できません。診断結果と対応策を簡単にまとめたものを、身体でいえば、治療法と薬剤を指定した「処方箋」で説明をします。対応策の提案には建物の状態の他、住民の意識を把握するためへに聞き取りやアンケートなどすることも必要です。ここでの診断はとても大切です。
改修で進めることが合理的なのか、建て替えまでを考えなければいけないのか、判断をする分かれ道です。当然、大切な話しなので、再度戻ってしまうような議論もします、時間も掛けましょう。
進むべき道の判断は住民が行なうので、データの全体を公開して見てもらうことが次のステップでの基礎になります。結果をおもねって情報を流さないよりは、公開した方がうまくいくことが多いようです。

快適な住生活のための維持管理費用

マンションでは自分たちのお金を積み立てて、維持管理のための小修繕や大規模改修を行ないます。日本では、マンションでこそ、「快適な住生活のための維持管理費用」が必要であるという認識が初めて生まれたのではないかと思っています。
 本来は公営・公社・UR住宅などの維持管理の蓄積によって「快適だからこそ長く住みたい」という意識になるための費用が算出されていれば良いのですが、残念ですが見えてきません。老朽化して愛着が持てなくなり、建て替えた方が良いと住民も思ってしまうという悪循環が繰り返されています。「予算がないから維持管理ができないのではなく、必要な維持管理をしないから予算が足りなくなる」のです。

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